『ブラッシュアップライフ』とYAZAWAに学ぶセルフプロデュース論

「プロフィール」を考える

『ブラッシュアップライフ』を見ました。

『ブラッシュアップライフ』。2023年に日本テレビで放送した連続ドラマです。ピン芸人のバカリズムさんが脚本を担当したことでも話題になりました。

ブラッシュアップライフ DVD-BOX
イントロダクション これは平凡な人生をもう一度やり直す平凡な女性のお話。 地元の市役所で働く 実家住まいの独身女性、近藤(こんどう)麻美(あさみ)33歳。 彼女はある日突然、人生をゼロから やり直すことになる。 気がつくと、そこは産婦人科のベッドの上。 目の前には若き日の父と母。 近藤麻美の 2周目の人生が今はじまった...

何を今さら・・・と思われるのを承知で書きますが、これが大変面白かったのです。

ざっくりと説明するならば、33歳で「一度目の」人生を終えた主人公の「あーちん」(安藤サクラ)が「来世はアリクイです」と言われ、どうしても人間に生まれ変わりたいという理由で人生を「もう一度」やり直すというストーリー。

お話そのものも大変面白かったのですが、個人的に興味を持ったのは登場人物のキャラクターについて。

「あーちん」を含む仲良し女子3人組が会話するシーンが多々あるのですが、それぞれに「この人はこういうこと言うよね」とか「このコはこういうとこあるから」と、見ているうちにそれぞれの人柄がくっきりと見えてくるのです。

『ブラッシュアップライフ』はドラマなので、脚本を書いているバカリズムさんがそれぞれのキャラクターの性格、考え方や「言いそうなこと」「やりそうなこと」を考えています。

それが積み重なっていくと「わー。この発言、あーちんっぽいわ」と見ている側も思うようになる。言わば「個性」が見えてくるわけです。

何が言いたいかというと、まず『ブラッシュアップライフ』が面白かったよ、という話。もう一つは「自分のキャラクターを理解することが、フリーランスにとっては大切なこと」だという話です。

自分の「個性」を理解して発信すること

自分のことは、自分ではなかなか理解できません。

ぼくのように、自分では竹野内豊的なキリっとした男前だと思っているのに、周りからは「のび太くん」またはアンパンマンの「カバオくん」だと思われているケースもあります。

不本意!

それはまあ良いとして。

あなたは自分が提供している商品・サービスは「唯一無二」だし、他とは全く違うもの、あるいは他よりも良いものだと信じているはずです。というか、そこには絶対の自信を持っていただきたいのです。

とはいえ、似たようなサービス、あるいは競合するサービスを提供する人や会社は存在します。

では、そういった競合の中から自分を選んでもらうためにはどうしたら良いのか?

・商品・サービス力を徹底的に磨くのか?
・料金を下げるのか?
・オマケを付けるのか?

もちろん、これらの戦略も有効です。

でも、それ以上に「この人のサービスを受けたい」と思ってもらうことが、フリーランスならば一番早いし、効果的だと思います。

そのためには、何が必要か。

それは「自分がどういう人か」「自分がどういう個性を持っているのか」を明確にすること。端的に言えば「自分をキャラ付けすること」です。

自分の「個性」を「好きになってくれる人」を集める

明確なキャラクターがある人は、目立ちます。

「この人ってこういうこと言うよね」とか「この人らしいよね」がはっきりしていると、そのキャラクターが好きな方が集まってくれます。

あ、別に何か被り物をしなさいとか、決めポーズを作りなさいとか、「ありがとうギョざいます」といいなさいとか、そういうことではありません。もちろん「さかなクン」さんは強烈にキャラが立っているので参考にはなりますが「ああいう人になりなさい」と言いたいわけではありません。

さかなクンの一魚一会 まいにち夢中な人生! (講談社青い鳥文庫)
たくさんの人に出会って、 見守られて、お魚好きの男の子は、 さかなクンになりました――。 「あの子は魚が好きで、絵を描くことが大好きなんです。 だからそれでいいんです……。成績が優秀な子がいれば そうでない子もいて、だからいいんじゃないですか。 みんながみんないっしょっだったら先生、ロボットに なっちゃいますよ。」 (...

というのも、あなたに合った(あるいはあなたらしい)キャラクターでないと、後々苦しくなったり、しんどくなってきます。

本来は無口で静かな人が、キャラクターだからといって「イエーイ!今日もノリノリだよ〜」などと言ってるのは、見てる方も聞いてる方も辛くなります。

むしろ、自分が今まで何をしてきたか、どういう人生を歩んできたか、どんな性格かを洗い出して、それをきちんと打ち出す方が良いです。

自分自身の過去や取り組んできたこと、自分の性格や好みをしっかりと分析して、そこに基づいて「どんな自分を打ち出していくか」を考えていく。これがフリーランスにおいてはとても大切です。

「あの人」に学ぶセルフプロデュース術

それを徹底した良い例が矢沢永吉さんでしょう。

【外付け特典付き】〜Welcome to Rock'n'Roll〜 EIKICHI YAZAWA 150times in Budokan [Blu-ray] (特典:矢沢永吉オリジナルコースター付き)
【外付け特典付き】〜Welcome to Rock'n'Roll〜 EIKICHI YAZAWA 150times in Budokan (特典:矢沢永吉オリジナルコースター付き)

ある、有名な逸話があります。

矢沢さんがツアー中のこと。

スタッフが矢沢さんが泊まるホテルをスイートルームを取る予定が、手違いでツインを取ってしまった。スタッフが慌てて矢沢さんにそのことを伝えると、矢沢さんはこう言ったそうです。

「あぁ、そうなの? いいよ、部屋がない訳じゃないんだから、気にしないでよ! ボクは別にいいから。・・・ただ、ボクは別にいいんだけど、YAZAWAが何て言うかな?」

いわゆる「オレはいいけど、YAZAWAはどうかな」の名言です。

普通に聞くと「スイートに泊まりたいだけじゃね?」とか「言い方が遠回しでなんか腹立つ」と思ってしまうのですが、そうではないのでは、と思うのです。

矢沢永吉本人は、本当にどっちでもいい。部屋がないわけじゃないんだから、と心の底から思っている。ただ「YAZAWA」というキャラクター、あるいはブランドを考えると「それでいいのか?」という問いではないかと思うのです。

これが例えば、庶民派の俳優さんや歌手の方ならば、ツインどころか、むしろシングルでもOKになるかもしれませんが、何しろYAZAWAはYAZAWAですから、YAZAWAなりのイメージが大切、ということを考えていたのかもしれません。

「いや、泊まるとこなんて誰も見ないんだからエエやんけ」と思うかもしれませんが、見えないところにまで気を配り、意識を張っているからこそ、YAZAWAはYAZAWAたるのかもしれません。

まあ、後半YAZAWAと言いたいだけになっているような気もしますが、スルーして先に進みます。

正直、ぼくは矢沢永吉さんのことをほとんど知りません。ですが、この話からは「自分をプロデュースする」ことの大切さがおわかりいただけるのでは、と思います。

くり返し言いますが、別にみんながみんなスイートに泊まってドンペリを開けて、高級外車を乗り回して、お休みは海外リゾートを満喫・・・みたいなプロデュースをしなくていいです。というか、したければすりゃいいのですが、しんどくなるくらいなら止めたほうがいいと思います。

むしろ、自分の性格や本来のあり方をしっかりと見直して、発信していくこと。

これをフリーランスの皆さまには意識していただきたいわけです。

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